ムンバイで個人の改名が大流行

ムンバイで個人の改名が流行しているそうだ。昨年1年間で実に13万1千人以上の人が改名し、今年に入っても昨年に勝るとも劣らないペースで申し込みが続いているという。そして改名にかかる手数料でマハラシュトラ州は意外な臨時収入を挙げていると紹介されている。インド人にとって、名前は出自や家族との関わりを示すとても大事なものだと思っていたが、記事を読んでいると、みな意外と簡単に改名に踏み切っている。手続きは簡単で、手数料120Rsを払って申請書を提出し、数週間後に出される官報に改名したことが記載されれば、その名前が使用可能だと言う。

→マハラシュトラ州、改名手続きで4千万ルピーをひねり出す

なぜ、インド人は改名したがるのか。一つは単純に運気を上げるためらしい。こういう理由は姓名判断などがある日本人にも理解できる理由だ。インドにもnumerology....数秘術といって名前や生年月日から運命を占うものがあり、それを信じる人がいるようで、日本人が画数を気にして「一」や「、」を名前のどこかに入れるのと同じように、名前から音を一つ抜いたり足したりするらしい。

それから単純に変な名前だから、というのがある。日本人にはなかなか分からないがインドにもちょっと吹き出してしまうような?あるいはニックネームとして短縮した時に、何かネガティブな音感になってしまう名前と言うのがあるらしい。

そしてもっとも興味深いのが、出自、カーストを表す名前を削ってしまうことだ。都市部では、互いにどんな出自なのか、素姓のよく分からないもの同士が同じ職場で働くケースが増えているらしい。そして少し仲良くなると、相手の出自が気になって姓を尋ね、同僚がダリット出身だと知った途端、距離を取ったりするなど態度が変わることが多いと言う。田舎ではこういうことはない。大方互いにどの辺に住み、どんな素姓なのか見当が付く。しかし都会では、人間の関係性も少し希薄になるせいで、こういった改名による「ごまかし」も可能なようだ。なんとなくインドの都市部での人間同士の距離感が分かるような話だ。