2012/2/16 ●女たちの街


バスでParvatipuramという街を目指す。海岸沿いの風景から徐々に変わってきた。小高い岩山がいくつか見え始める。あれはもう東ガート山脈の端くれなのかな、と思いつつ昼過ぎに到着。

インドは結婚式シーズンで、町の中にある4つのホテルはどこも結婚式の招待客の予約でいっぱいだった。最後に飛び込んだロッジも最初は断られたが、粘って頼んだら、一部屋だけならどうにかなるだろうということで空けてもらった。

Parvatipuramという小さな町で印象的だったのは、女性の姿が町にとても多いということだった。商店も露店も小さなチャイスタンドも、ソーダハブと呼ばれる紙コップの清涼飲料水の店にも、プリーやイドゥリー、ドーサなどを作って売る屋台にも、サリー姿の女たちが、時にはパンジャビ姿の娘もアルバイトなのか、店番をしていた。みんな明るく元気で、サリーを作る店では、女ばかりがミシンを並べてわいわいと賑やかに笑いもって作業していた。市場で物売りしている女たちは、「バブー、バナナ買って行きなさい」と外国人の自分にも積極的に声をかけてくる。北インドではあまり経験のないことだった。このような男勝りの性格はこの辺りの女性の特徴なのだろうか。仕事の合間に、女たちがチャイ屋を囲んで、チャイを手に世間話に興じている姿も、まるで男たちのようで新鮮だった。

夕方になって学校が終わる時間になると、女子学生が一斉に自転車に乗って帰宅する。これだけ沢山の女の子が自転車に乗っている姿をインドでは初めて見た。男子学生よりも多いのではないかという気さえした。スクーターに乗っている女性も多い。そしてサリー姿で自転車を漕いでいる人も何度か見かけた。以前、→Spin Off 自転車における男女のバイアス で、サリー姿で自転車に乗るのは難しいだろう、と書いたがそれは間違っていた。サリーの裾が窮屈そうだが、ちゃんと自転車にまたがってペダルを漕いでいた。



自転車通学する女子学生たち
自転車通学する女子学生たち
自転車通学する女の子たち
自転車通学する女の子たち

ここに来るまで、アンドラ・プラデーシュ州のイメージというのがはっきりとなかった。あえて言えば、→インドの犯罪白書を読む インドの犯罪全般の傾向について で指摘したように、犯罪発生件数の高い、インド中部の乾いた大地の上に横たわる殺伐とした雰囲気のある地域なのかな、と思っていた。しかしこれほど女性の社会進出が進んでいるとあって、とてもイメージが変わった。みんな屈託がないというか、インドってこんな国だったっけ?と、大げさに言えば違う国に来たような気分にさえなった。