Nashik観光


 

Panchvati近くの偶然見かけたロッジに宿を取り、外へ出た。あまりこのNashikという町について、下調べをせずに来たが、ぶらぶらと歩いてみる。すぐに面白いことに気が付いた。この辺りにはとてもユニークな建築様式の建物が多数あった。とても細かい装飾の施された欄干をあてがった、木製のバルコニーが通りに面していて、その佇まいが何とも言えず、街並みに風情を与えていた。インドなのに、なぜかインドらしくなかった。通りを歩いていると、まるで中国の奥地の小さな村に迷い込んだような、そんな不思議な感覚に襲われた。何時間かかけて、夢中になって歩き回っていた。

 

ノスタルジックな建築。ここは普通の写真スタジオなんだそう。
ノスタルジックな建築。ここは普通の写真スタジオなんだそう。

そうそう、と思い直してスマホのGoogle Mapを開けてPanchvatiと呼ばれるゴダパリ河畔の沐浴場に行ってみた。さすがに、クーンブ・メーラーが開かれるだけあって、沐浴をするためのガートが河岸に広範囲にわたって整備されていて、神様を祀るお堂もあちこちに建てられている。古いものもあれば、新しくてピカピカのもあった。近くの大通りから河岸に伸びる道沿いに土産物屋や食堂、売店、さとうきびジュースの店が軒を連ねている。アユルヴェーダの薬を調合するための、何かの木の皮や木の実、スパイスの干したものが、地べたに並べられている。いかにもインドの巡礼地の参道、といった賑わいだった。

 

 

ビハールは寒かったが、ここは一転して暑かった。石畳の沐浴場は昼の日射が反射して容赦なく体に照り付け、頭がぼーっとしてきた。沐浴している巡礼客もいるが、地元の露天商の人や物乞い、何かわからないけれどもこの巡礼地でぶらぶらしてるよう人たちは、みな日陰を探して地べたに座り込んで涼んでいた。

 

正直、インドを旅しながらヒンドゥのお寺にはあまり興味がなかった。特に新しめのお寺は。古い、石の彫刻をしつらえたお寺だけ見て回った。その後またしばらく歩き、真っ黒のラーマが祀られているというKalaram templeに向かったが、入り口に巡礼客が大勢たむろして入場を待っていたので、近くにあるSita Gufaaという場所に向かった。Sita Gufaaは、ラーマーヤナでSitaが神様Shivaに祈りをささげているとき、魔王Ravanaに見つかってさらわれた、とされる洞窟だ。Panchvati(5本のバニヤンツリー)の名の通り、洞窟の前には、古くて大きな大きなバニヤンツリー(菩提樹)があり、太い枝から無数の長い気根をたらし、それ自体がまるで洞窟前に陣取る怪物のようなたたずまいで、大地にどしっと根を下ろしていた。