2/17 ●中国寺の学校とインドの学校

朝、まだ曇りがちだったが大涅槃寺に散歩に行ってみた。雨水を吸ったレンガの敷き道は、なんとはなしにいつもより柔らかく感じられる。試しに草履を脱いで裸足で歩いてみると、足の裏にレンガがしっとりと吸いついてくるようで、とても気持ちいい。ついでに雨で濡れた芝生の上も歩いてみると、これも気持ちいい。歩いていると徐々に日が射してきた。雨を受けた後の植物たちは、みな一様に日に向かって伸び上がるような仕草を見せる。その芝生の上を子供のようにジグザグに歩きながら公園内を1周するのがこの日からの日課になった。

朝の大涅槃寺
朝の大涅槃寺

宿泊している中国寺に帰って10:00から始まる敷地内で開かれる学校を見学する。ここは地元では専らチャイニーズテンプルと呼ばれているが、正確にいえばベトナム資本らしい。お寺を取り仕切っている女性の僧侶はベトナム系米国人、ベトナムからの巡礼ツアー客が頻繁に訪れる。

 

学校といっても4つほどの小さな教室と、大きなテントの下に机を 並べたものがあるだけだ。昨日は大雨だったので臨時休校だったらしい。境内というか中庭に落ち葉がたくさん落ちているのを男子学生が一列に広がり、教師の合図でいっせいに拾い始める。インドでは子供に掃除をさせない、と聞いたことがあったが、ここではそうではないらしい。みな黙々と拾ってかごに集めてい た。そのあと境内に据えられた仏像の前に男女別に並んで朝礼を行う。みんなが仏教徒ということではないということだが、仏さまの像に向かって合掌し、なにやら定型の文句を声をそろえて発し、時折頭を下げている。

 

無料ということもあってつくづく人数が多い。クラス1からクラス10まであるそうで、特にクラス9、10まで併設されている学校は珍しい。9年生、10年生くらいになる子供たちは体格もある。ざっと人数を数えたら400人くらいいた。女子は180人ほどなので45%くらい。

それぞれのクラスに分かれて授業を行う。教室は狭く、驚くほど暗い。中にはまさかこの部屋は実際には使われてないだろうな、と思っていた納屋のような薄暗い教室で本当に授業が行われていて驚いた。隣同士に座っても互いの顔がはっきり見えないほどの暗さだ。一応天井に蛍光灯がぶらさがってはいるが、点灯しているのを見たことがなかった。

 

教室が4つしかないのでブルーのビニール製の大きなテントの下で勉強しているクラスや木陰に集まって勉強しているクラスもある。お寺の境内は一部の建物が解体されるなど工事が行われており、トラックが入ってきて土砂を下ろしたり、作業員が作業している方に、どうしても外で勉強 している子供たちの目を奪われてしまう。自分のような外国人がそばを通ってもちらちらとこちらを見る。

中国寺のテント教室
中国寺のテント教室

午後からインドマイトリの会の事務所にお邪魔した。ここからは現地スタッフのブラジェーシュさん、日本から来たスタッフの方(女性)、自分の3人で行動する。

 

新たにトイレが新設された学校に伺い、寄贈された真如苑の方々と合流して式典に参加させてもらった。工夫 を凝らしていてトイレがとても明るく、タイルがかわいらしい。校庭に集まった児童の数を数えると200人あまり、なんと女子児童の数のほうがわずかに多 かった。校舎には教室が4つ、そのほかに校庭を取り囲むかたちで屋根つき、校庭側の壁がない教室が7つある。クラス8まである平均的な学校だ。

 

生徒が皆運動場に集合しているので、教室の中を 拝見させてもらうとやはりうす暗い。今回、インドの学校を見学させてもらうということで、簡単な照度計を持って来ていた。机の上で何箇所か測ってみると、教室の暗いところにある机で80~130lux程度、窓際の机では1000luxあった。日本の基準だと400luxが勉強・事務作業に必要な最低照度だが、一つの教室内でも400luxを超える箇所は窓際を除いては1か所もない。しかもインドの学校の教室は、日本と違って窓が小さい。立派な校舎の中の教室より、校庭にある壁のない教室のほうが明るいのは皮肉な話だ。

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教室の広さは6mあまり×7mあまりで46平米あった。3人がけの机といすがくっついたものが12台入ってまだ少し余裕がある。きっと40人用の教室向けに計算されて設計されているのだろう。式典で真如苑の方がマジック を披露されていて、子供たち以上に大人の先生たちが真剣に、わくわくした表情で見ているのが面白かった。

 

 

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新設されたトイレ
新設されたトイレ