2/2 ●リシケシュへ向かう

デリーを出る。自分の場合、ちょっと体調を崩して寝込んだりすると、とたんにその町を早く出たくなる。なにか床に馴染んでしまうような気がして、嫌なのだ。デリーは1週間程度と考えていたので少しオーバーした。余裕のある旅行ならいいが、後の日程がつかえているので早く出たくて焦っていた。その一方で、デリーで見落としたこと、やり残したことがあるように思えて仕方なかった。釈然としない気持ちを残しながら、ウッタラカンドへ向けてバスに乗り込む。今日はハルドワールかリシケシュ、行けるところまで行って一泊し、翌日ウッタルカーシーへ向かおう。

バスがデリー郊外に出ると、とたんに田舎の風景になる。大きな牡牛や水牛が車を曳いて道路を往く。後ろから大きなトラックが堪えきれずにクラクションを鳴らし続けても一向に気にすることなく悠々と歩いている。さとうきび畑がところどころ刈り取られている。これは1年中栽培されているのだろうか?刈り取られたきびが文字通り山盛にされてトラクターの後ろに曳かれた車に乗せられている。ちょっとした建物がまるごと移動しているのかと思うほどだ。どこかできびの汁を煮詰めているみたいで、バスの中にも甘いにおいが入ってくる。牛の糞を丸くしてつぶしてあちこちで干されている。今はケロシン価格が上昇したせいか、ケロシン用コンロからガスを使ったコンロが増えている時代なのに、今でも燃料に牛糞を乾かしたものを使用している人たちがいる。バスの窓から眺めていると、本当に、こんなにも埃まみれで汚い風景を、なぜこんなにもいとおしく、懐かしく感じるのだろう、とジーンとしてくる。まるで元々自分の中にあったかのように。

夕方、ハリドワールに着く。まだ明るかったので思い切ってリシケシュに行くことにするが、バスがなかなか出てくれない。リシケシュに着いたらすっかり夜になっていた。